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zoom RSS 佐賀県佐賀市 part2 曹洞宗恵日山高伝寺 『押しかけ女房の秘策』

<<   作成日時 : 2013/01/21 00:34   >>

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美魔女」に「熟女芸人」。熟女に関連した新語も多く見られるようになって最近では珍しくなくなってきた感がありますね。昨年は人気お笑いコンビピース綾部祐二さんと元藤島部屋藤田紀子さんの熱愛報道もあり、熟女とのカップルというのも珍しくはなくなりました。時代を遡った戦国時代でも少々事情は異なっていますが、私の地元に興味深いエピソードが残っています。今回は『肥前の熊』と呼ばれた猛将『竜造寺隆信』の母『慶ぎん尼』と佐賀藩藩祖『鍋島直茂』の父『鍋島清房』の攻防を紹介します。

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戦国時代、北部九州に勢力を築いていた小弐家の筆頭家臣に上り詰めていた竜造寺家兼は、主君であった小弐家を裏切り竜造寺家として九州での勢力を拡大していました。

家兼は文武に優れる武将でしたが、好戦的性格の持ち主でもありました。

それ故敵も多く、子や孫を次々と殺されてしまう憂き目に合い、一族郎党を悉く失うことになります。

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この家兼が93歳の大往生を遂げると、残っていたのは息子『竜造寺周家』の未亡人であった『慶ぎん尼』とその息子『竜造寺隆信』だけでした。

【補足】
『慶ぎん尼』は『竜造寺形部大輔胤和』の娘で、竜造寺後家とも呼ばれた人物です。
夫の『竜造寺周家』は小弐氏の重臣『馬場頼周』の謀略で殺され未亡人となっていました。

↓五州二島の太守『龍造寺隆信』については、こちらの文献が参考になります。


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弘治2(1556年)、この事態に残された『慶ぎん尼』は行動に出ます。

竜造寺家の有力家臣であった『鍋島直茂』の父『鍋島清房』は、家兼の孫娘を娶っていました。

しかし、既に清房はこの妻に8年前に先立たれており、『慶ぎん尼』はそこに目を付けていました。

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『慶ぎん尼』はあるとき清房を自分のもとに呼び寄せます。

「清房よ、そなたのお子たちも母親がおらぬでは寂しかろう」

清房は軽く頷きました。

「後添えに思いあたるものがおるのだが、一度逢うてみてはどうか」

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このとき清房は自身が複数の子持ちであることを理由に一旦この申し出を断りました。

しかし『慶ぎん尼』は続けます。

「その女子はそういうことをとやかく申すものではない。そなたは女子には不自由しておられまいと思うが、主婦がのうては家政も定まらず、子育ても乱れる。一度逢うてみなされ」




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清房は恐縮しながら、こう切り替えします。

「家妻として迎える上は、かなりの家柄の娘御でのうては死んだ妻に申し訳が立ちませぬ」


これに対して『慶ぎん尼』は

「それはもっともなことよ。しかし心配は要らぬ。先の奥方に引けをとらぬ家柄であるので、安心せよ」

と、更に押したのでした。

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返す刀で、清房も応じます。

「しかし、逢うて万が一気に入らぬと申せば、角が立ちまするぞ」


この言葉に『慶ぎん尼』は引かず、止めの一言を放ちました

「かのようなことで腹を立てたり根に持つ女ではないわ。物分かりが良く、左様な心配は無用じゃ」

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初めは本意ではなかった清房でしたが、突然舞い降りたこの縁談に悪い気はしません。
清房は承諾し、縁談の日を待ち侘びました。

そして縁談当日。

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「殿、嫁入りの輿が到着にございます」

清房は玄関に急ぎました。

すると丁度4人担ぎの手輿が、正に玄関に下ろされ、荷持ちの人足が嫁入り道具を荷い入れているところでした。
人足たちは、口々に嫁ご寮の到着を告げ、祝いの言葉を述べます。

そして、この光景に呆然と立ち尽くしていた清房の前に、終に輿の戸が開きました。

「お方さま」

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ここで清房は仰天します。

なんとその花嫁はこの縁談をすすめた『慶ぎん尼』本人だったのです。

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『慶ぎん尼』このとき47歳、混乱する清房をよそに『慶ぎん尼』が切り出します。

「騙されたとお怒りでございましょうな。しかし何年来考えていたことでございまする」


【補足】
このときの『慶ぎん尼』の狙いは竜造寺家の強化にありました。

息子の隆信を当主に据えたいま、その補佐役として鍋島家が主家竜造寺にとって重要な役割を担っていました。
曽祖父の家兼に死なれ頼るものがいない状態ではありましたが、清房の子『鍋島直茂』は若輩ながらも家中で利発と評判が良く、非凡な才能が際立っていたと伝わります。
『慶ぎん尼』は自らが清房の元に嫁ぐことで、この直茂と隆信が兄弟となり竜造寺家の力は強固となると考えたのでした。

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「わたくしの息子隆信は家長になるべく還俗したがまだ年若。何より心配でならないのだ。わたくしがそなたの家に入れば隆信と直茂は兄弟となる。」

『慶ぎん尼』は両手を合わせ、清房に対して頭を下げました。
この行為に清房は

「それほどまでになさらずとも、竜造寺家は無二の主家と心得ますれば。。。」


「清房殿、わたくしのことがお嫌いか?」

ストレートに尋ねられ、清房は絶句します。

そして清房は、結局断りきれずにこの申し出を承諾したのでした。。。

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手段は兎も角『慶ぎん尼』の狙い通り、竜造寺家と鍋島家は関係が更に深くなりました。
そしてこの後も強固な関係で大友氏島津氏などの強敵と渡りあい、終には九州の一大勢力へと変貌を遂げていくのです。

↓九州の大友、島津、竜造寺の攻防について詳しく知りたい方はこちらを参考にして下さい。


それはまた別の機会に紹介したいと思います。

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現在、佐賀市本庄にある高伝寺に今回取り上げた『慶ぎん尼』と『鍋島清房』夫妻の墓が仲良く並んで残っています。
年下の男を落としたい女性または気が利く姉さん女房に憧れる男性は、この夫妻に肖り訪れてみてはいかがでしょうか。

【補足】
このエピソードは『藩翰譜(はんかんふ)』に記載されています。
因みに、世間では『慶ぎん尼』は『悪女』と呼ばれました。
これは世の女たちが、後家が男を誘惑したと忌々しさと羨ましさから流した悪口と考えられています。

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曹洞宗恵日山高伝寺

住所:〒840-0027 佐賀県佐賀市本庄町大字本庄1112番地1
電話:0952-23-6486
拝観時間:8:00〜18:00
拝観料:300円
交通:JR「佐賀」駅下車
   佐賀市営バス相応・久富行き「高伝寺前」下車
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【参考文献】
『戦国激女100人伝』(株式会社徳間書店)
『おんなたちの戦国史』日本史探検の会(株式会社ぶんか社)

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ゆうじさん、お久しぶりです。
今年もよろしくお願い致します。

この「慶ぎん尼」の女傑ぶりには
びっくりしますね。
世が世なら。。。結婚詐欺?(笑)^^;

でも、世が世だから
なんとしても安寧を願い
自分の家を護ろうと必死だった
のかもしれませんね。

う〜〜ん!
ある意味!あっぱれ!(笑)

後世に語られるのと
そのご時世での評価とは
温度差があるのでしょが
それにしても。。。
凄い女性です(笑)
断りきれないようなその手腕!
まね???(笑)
ちょっと、無理かも!^^;
みつば
2013/01/23 16:57
みつばさん
こんにちは。

今年も宜しくお願い致します。

間違いなく詐欺でしょう。(笑)

しかし、家を思う気持ちが通じて良かったと思います。

悲しいかな地元ではあまり知られていない人物ですが、『慶ぎん尼』が居なかったら、そしてこのときの判断がなかったら、恐らく大友氏の軍門に下っていたと思われ、その後の鍋島36万石の繁栄や幕末の雄藩としての活躍はなかったでしょうね。

それほど、功績は大きいと思います。
ゆうじ
URL
2013/01/28 16:10

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