東京都台東区 part4 天台宗東叡山寛永寺根本中堂 『紀伊国屋文左衛門成功の真相』

画像


『沖の暗いのに白帆が見える、あれは紀伊国みかん船』という歌で有名な『紀伊国屋文左衛門』。一代で莫大な財産を築いた文左衛門の活躍には徳川家の菩提寺である『寛永寺』造営と関係があります。

画像


画像



紀伊国屋文左衛門(生没年不詳,以下紀文)は江戸時代前期の豪商で、当時悪天候のため江戸への出荷が間々ならず価格が高騰していた蜜柑(みかん)に目を付け、紀州で安く仕入れた後他の商人が出航を見送っていたときに暴風雨の中紀州蜜柑を海路にて決死の覚悟で江戸へ運び巨万の富を築き、後に材木問屋を開いて幕府のご用達商人となった人物として知られていますが、この話には語弊があり正確ではありません。

画像


この話は実の所矛盾点が多々あり根拠が無い話です。
例えば、紀文が活躍したとされる時代は未だ紀州蜜柑が江戸へ出荷されておらず、また蜜柑は徳川御三家である紀州の特産品であったため、その流通は紀州藩が管轄するもので当事若い紀文が買い付けることは不可能であっと考えられるのです。
話の出所は、幕末の2世為永春水が紀文一代をモデルに合巻『黄金水大尽杯』(嘉永7年~慶応2年刊行)あたりを最初として、歌舞伎や浪曲、談話等を通じて次々と着色され明治以降に定着してしまったと考えられています。

画像


【補足】
しかし、着色されたとはいえ他に多数の目撃証言のある有名な江戸吉原での大尽遊びは本当で、元禄期(1688~1704年)に巨万の富を築いた事もまた事実です。
蜜柑の話も後に紀文が神社に奉納した蜜柑船の模型があることから、運んだ事実はあると思われますが、これは恐らく創業当初ではなく既に一財産を築いた後の話と云われています。

画像


紀文は元禄元(1688)年に江戸へ出て八丁堀に材木屋を開店させ、元禄7年に四谷の伝馬町から出火した大火事による木材価格の高騰で先ず一儲けしました。
そして、翌元禄8年と元禄11年にも江戸で大火事が発生したので、大火後に遠州千頭山で材木を買占め逸早く大井川から海上を経て江戸に至るルートでそれを運びました。
大火後の建て直しに材木が不足していたため、正に飛ぶように売れそれは他の材木商がようやく材木を用意した時には、主だった屋敷の骨組みは既に出来上がっていたと云われています。

画像


この功績から紀文は幕府御用達材木問屋となり、元禄11(1698)年には上野寛永寺(徳川家菩提寺)の根本中堂の造営用材の調達を幕府から請け負った際は、駿府の豪商『松木新左衛門』らと共に江戸大火時と同様に大井川奥の遠州千頭山から材木を運んで、一挙に50万両を儲けたと云われています。

画像


従って、紀文の蜜柑で財を成したという話は正しくありませんが、本八丁堀3丁目(現中央区八丁堀4丁目)に約3,600坪(1町4方)という巨大な幕府ご用達材木問屋として財を成したというのが真相です。

画像


【補足】
材木商として一財産を築いた紀文でしたが、材木商売は不安定な商売で値相場の変動が大きく、また時には蓄えた材木が火事で焼けたり、大水に流されることもありました。
また比較的長く安定して商売の出来る製造業に進出しなかったこともあり、紀伊国屋は材木問屋としては成功しましたが、短命に終わっています。

画像


--------------------------------------------------
天台宗東叡山寛永寺根本中堂

住所: 東京都台東区上野桜木1-14-11
TEL : 03-3821-4440
交通: JR山手線「鴬谷駅」より徒歩8分
--------------------------------------------------

画像








画像


【参考文献】
『知られざる日本史 あの人の「幕引き」』歴史の謎研究会(株式会社青春出版社)
『歴史教科書に載らないネタ』 日本博学倶楽部(PHP研究所)
『たけみつ教授のホントは非常識な通説日本史』武光誠(株式会社リイド社)
『教科書が教えない 歴史の[その後]』日本史追跡調査(株式会社 新人物往来社)

画像

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 10

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス

この記事へのコメント

2010年09月14日 21:33
こんばんは ゆうじさん
紀伊国屋文左衛門が寛永寺造営と関係があったということ、とっても興味深いお話し、そして私にとってはすっごくありがたいお話しでした。ありがとうございました。m(__)m

ところで、メッセージをいただいて、最初何処へどのように登録すればよいのかわららず、昨日は大変な騒ぎでした。(笑)まあそれは、冗談として、フレンド登録させていただきました。ちゃんと登録できていると思うのですが、一応確認お願いします。
2010年09月16日 01:45
naturaさん
訪問ありがとうございます。

こちらも登録認証させていただきましたのでどうぞご確認ください。

またnaturaさんに気に入っていただけるような話を書いていけるようがんばりますので、また遊びに来てくださいね。
2010年09月16日 10:06
なるほど・・。改めて歴史の凄さを感じました。
勉強になります。またお邪魔します。
2010年09月17日 23:02
こんばんは ゆうじさん
画家&絵画にまつわるお話し
楽しみにしています^^。

あっ それと、私の方のblogに
リンクさせていただきました。
もし、問題があるようでしたら、
ご連絡ください。
2010年09月22日 08:37
ゆういちろうさん
こんにちは。

いつも訪問ありがとうございます。
散歩と読書しか取り柄の無い私ですが、また遊びに来てくださいね。
2010年09月22日 08:46
naturaさん
こんにちは。

今後モネ、ゴッホ、ドラクロワ、ルーベンス、ルノワール等のエピソードを書く予定はあります。

すみませんが気長に待っていただけますでしょうか。
2010年10月03日 03:08
こんばんは ゆうじさん

絵画、画家にまつわるお話しを楽しみにしているとコメントしましたが、全然気にしないでくださいね。すぐにでも読みたいという事ではなく、いつか記事にした時にでも読めたらという気持ちでいましたので、気長も気長、忘れた頃でもOKな位です^^。

ゆうじさんにメッセージが送れないので、ここにカキコしますが、リンクはトップページの右側に貼りました。都合が悪いようでしたらすぐに外しますので言ってくださいね^^。

この記事へのトラックバック