世界遺産 ベルン(Bern) part4 Einstein-Haus その2 『特殊相対性理論』

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『相対性理論』はこの街から生まれた。

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以前『相対性理論』が書かれたスイスの首都ベルンにあるアインシュタインハウスを紹介しました。
もう一度紹介するだけでは面白くないので前回と趣向を変えて『相対性理論』にちょっとだけ踏み込んでみたいと思います。

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今回は相対性理論の生まれたベルンの美しい街並みの写真と共に『相対性理論』の中でも基礎の『特殊相対性理論』を少し紹介します。

【補足】
『相対性理論』は物理学者の間では『相対論』と略されることが一般的です。

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アルベルト・アインシュタイン(以下アインシュタイン)の『相対性理論』には1915年発表の『特殊相対性理論』と1916年発表の『一般相対性理論』があります。
『特殊相対性理論』は基礎理論で『一般相対性理論』はそれを発展させより一般化させた理論となります。

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【補足】
『特殊』というのは「限定的な」という意味で、『特殊相対性理論』でいう特殊な場合とは、物理現象を見る観測者が『等速直線運動』をしている場合です。
『等速直線運動』とは「一定速度で真直ぐに進む運動」を言います。
止まっているものは「時速0kmの一定速度運動」と見做されるため、これも『等速直線運動』に含まれます。

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『相対』というのは「他との関係の中で成立するもの」という意味の元々は哲学用語です。反対語は『絶対』となります。
しかし『相対性理論』で言う『相対』は「どちらも正しい」又は「どちらも平等に価値がある」と言う意味で使用されています。

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『特殊相対性理論』は「光の速さは、どの速度で進むものからも秒速30万kmで見える」という事実から作られました。

↓今回参考にした文献の一つです。『相対性理論』と『量子論』についてこの一冊に分かり易く解説されています。
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【補足】
アイザック・ニュートンが発見した運動法則を基礎として形成された『ニュートン力学』では「運動に絶対的な考え方はない」と言われていましたが、光はその常識を破る存在となります。
当初光は粒子説が有力でしたが、後に光は干渉という波特有の性質が発表されてから19世紀後半には正体は波だという説が定着します。
しかし波には伝搬させる媒質が必要であり、宇宙空間には空気さえも存在しません。
学者らはこの媒質を『エーテル』と名付け、正体を突き止めようとしました。
しかし、如何なる実験からも証明することができなかったため、存在の否定は完全ではありませんが『エーテル』は物理学の理論から除外されることになっています。

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(例えば電車等)2つのものが同じ速度で並走する場合は、相手は止まっている様に見えます。
しかしもし光速で進むものが近くにあった場合、例えその光の速度で移動しても光は変わらず「秒速30万kmで見える」のです。
不思議な現象ですが、何度実験を繰り返しても「光の速度はどの様な速度のものからも秒速30万kmの一定」になるのです。

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【補足】
かつて光の速度は無限だと思われていました。
しかし17世紀後半にデンマークの天文学者オーレ・クリステンセン・レーマーが、木星衛星イオが木星の影に隠れる『食(しょく)』の時間が、地球と木星の距離で変化することに気付き、その速度を秒速22万kmと計算しました。
その後、19世紀にフランスの物理学者アルマン・フィゾーが鏡と歯車を使用した実験で、秒速31万kmだと測定します。
更にその後、同じくフランスの物理学者レオン・フーコーが回転する鏡を使用して現在の秒速30kmの非常に近い値を導き出しました。

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そしてこの不思議な現象の発見から色々な事が分かってきます。

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先ず「動くものは止まっているものよりも時間の進み方が遅くなる」ことが分かりました。
例を出すと、光の速度の90%の速度で飛ぶロケットが地球を飛び出し1年間経過して地球に帰還すると、なんと地球では約2年4ヶ月経っているのです。

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また「動くものは進行方向の長さが縮んで見える」ことが分かりました。
50mのロケットが光の速度の90%の速度で飛ぶと、ロケットの長さが約22mに見えるのです。

更に「動くものは質量が増加すること」が分かりました。
この「質量には巨大なエネルギーが秘められている」という事実は後の原子爆弾作成の基礎になっています。

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ここで光の速度が常に一定である謎を解き明かした理論が『特殊相対性理論』です。
アインシュタインは「時間」に注目しました。
私達は時間は絶対的なものとして捉え、誰にとっても同じものとして考えています。
しかしアインシュタインはこの従来の時間や空間の概念に対して方向転換せざるを得ないと考えました。

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『特殊相対性理論』の論文の中では『同時刻の相対性』を説明しています。
今回詳しく説明はしませんが、これは「ある人にとって2つの出来事が同時に起こったとしても、別の人には時間がズレて起きている様に見えることもある」というものです。

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光の速度が一定であるということが事実である以上、「見る人の立場によって時間の尺度が伸びたり縮んだりする、またある人にとっての同時が別の人にとっては同時ではなくなることもある。これが時間の真の性質」であると理解する必要があると提唱したのです。
光には速度合成の法則が適用されない特殊な存在だというのです。

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私達の感覚では、極僅かな時間の違いに気付くことはできませんが、時計等で計る精度には限界があります。
「時間は唯一絶対」という従来の概念に捉われず、これを思考実験で的確に辿り着けたアインシュタインはやはり天才なのです。

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また質量の巨大なエネルギーについては、『特殊相対性理論』の後半で『E=mc^2』という有名な方程式を登場させています。
(Eはエネルギー,mは質量,cは光速)

先に登場させた『ニュートン力学』では、止まっているものはエネルギーを持たないが、『特殊相対性理論』では例え止まっているものでも静止エネルギーを持っていると論じられています。

【補足】
原子力発電では核分裂の前後で燃料が少し軽くなり、その軽くなったエネルギーEが『E=mc^2』という方程式で放出され、そのエネルギーを電気に変換して発電が行われています。
この方程式は原子爆弾の原理となり、後にアインシュタインは「パンドラの箱を開けてしまった」と嘆き、晩年平和運動に身を投じることになります。

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アインシュタインハウス(Einstein-Haus)
Kramgasse 49,Postfach 638,3000 Bern,Switzerland
Tel 031 / 312 00 91
Fax 031 / 312 00 41
http://www.einstein-bern.ch
-----------------------------------------





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【参考文献】
『〔図解〕相対性理論がみるみるわかる本(愛蔵版)』江口克彦(株式会社PHP研究所)
『〔図解〕相対性理論と量子論』江口克彦(株式会社PHP研究所)
『ねこ耳少女の相対性理論と超ひも理論』竹内薫(株式会社PHP研究所)

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この記事へのコメント

2011年02月26日 15:44
毎度アンポンかなり話がズレますが、昔電車に乗っていた時に一緒に大きなハエも乗車していました。ハエくんは休まずに車内を飛んでいましたが、もちろん電車も走っています。飛ばなくても電車は走るのに…
電車とハエくんの速度が同じなら、今私は不思議な光景を見ているのかもしれないなと思ったことがありますf^_^;
2011年02月26日 16:26
こんにちは!
昔読んでいたニュートンのことも思い出しました。
光速に近い速度で移動すると時間の進みが遅くなる・・・。
これが実現すれば年を取るのを遅らせることができるのかなあなんて思ったりしますが、戻った時には知っている人は誰もいなくなっていた・・・なんてことがあると寂しいですね。
2011年02月26日 16:59
美しい写真と共に相対性理論ですか^^

理数系が苦手なカノンですが、楽しく読ませていただきました。

時間って捉え方次第で長くなったり短くなったりしますよね~

時は金なり。

時間は大切に使いたいものですね^^




よんちゃま!
2011年02月28日 11:09
なぜ 外国の方が「町並みが綺麗」・・と 思うのかな?(歴史が違うから・・?)
「相対性理論」・・・わたしなら 思いつかない・・・・ことだなぁ~(細かいことは どうでもいい・・・と 思う主義なので・・・!?)
2011年02月28日 23:25
相対性理論には昔から興味しんしんなのですが、なにせ脳みそがついていきません(笑)
昔のSFでよくありましたね。地球に帰ってくると自分だけが変わらず、家族や友人は皆年取って。。。時間ってフシギです。人生は時間そのものですもんね。時間は本当に一定なのだろうかと疑ったこともあります。伸び縮みするんじゃないかとか。。。
理論的にはタイムマシンも実現可能だそうですが、過去には行かれず未来のみだとか。
最近リサ・ランドール博士の比較的平易な本を読んだのですが、さらにちんぷんかんぷんになっただけでした~(><)物理学はムリだ~。
ターコ
2011年02月28日 23:30
ベルンにこんな所があったんですね~(^o^) 大分昔に行きましたが、間欠泉と動物園かな?の熊しか覚えてないです(~_~;A
しかし、この相対性理論、字面上理解したつもりでも、いまいち実感を持って理解が出来ません。きっと何度言われても、私には理解は出来ないかも。。(-_-;)
2011年03月01日 00:26
かよちゃん☆彡さん
こんにちは。

かよちゃん☆彡さんは好奇心のある方ですね。
私は電車ではボーっとしているだけです。

色々観察してみようかなっ。
2011年03月01日 00:29
donaugo さん
いつも訪問ありがとうございます。

そうですね。
自分だけ取り残された状況になっては本末転倒ですもんね。

私も気をつけなければ・・・
2011年03月01日 00:48
カノンさん
コメントありがとうございます。

時は金なり。
そうですね。
私も時間を大切に使いたいと思います。

更に旅をしなきゃ♪
2011年03月01日 00:52
よんちゃま!さん
こんにちは。

外国の街が綺麗に見えるのはきっと日本より街の統一感が高いからだと思います。
景観を大事にしている街が多いですからね。

日本も小京都等景観保全に努められている街は綺麗な処が多いです。
2011年03月01日 00:58
おとめさん
コメントありがとうございました。

興味を持って読んで頂いて嬉しいです。
未来には一家に一台タイムマシンがある時代が来るかもしれませんが、未来に行くより過去の方が楽しそうです。

P.S
また良かったら遊びに来て下さいね。
2011年03月01日 01:03
ターコさん
こんにちは。

私は逆に間欠泉と動物園は知りません。
次回訪れる時は是非行ってみたいと思います。

コメントありがとうございました。
2011年03月01日 15:20
ベルンの街並みとっても綺麗ですね
みんな同じ方向を向いてて(笑)

日本の街並みのようにゴチャゴチャしてませんよね
北欧ってとっても街がきれいだなって思うのです。

でもつい・・・地震があったせいかな?
見かけだけじゃだめなのかな?ってふと最近思ってます^^

人々も静かなんでしょうねぇ
行ってみたい♪
2011年03月02日 16:34
今回も、難しいお話ですね。
アルベルト・アインシュタインの相対性理論。何歳頃、どこでだれから聞いたのでしょう。、良く理解できていませんでした。ノーベル賞を貰ったのは、一世紀も昔の事ですよね。
美しいスイスの町並み、その頃と、あまり変わっていないかもしれませんね。
町並みを拝見しながら、遠い昔に思いを馳せるのもロマンを感じます。
日本へも来たと聞いたような気がしますが…
2011年03月03日 00:19
ひめこさん
コメントありがとうございます。

確かに景観と機能難しい問題ですよね。
ただスイスの場合は永世中立国故シェルターの設置が義務付けられています。
美しい街並は時として要塞へと変貌も可能なのです。
2011年03月03日 00:26
S子さん
こんにちは。

今回は難しいテーマに挑戦してみました。
『特殊相対性理論』について分かり易く書いたつもりでしたが、伝わりましたでしょうか。

万人に伝わらなければ未だ未だ私の解説と構成能力不足を感じてしまいます。

至らない点がありましたらお詫び致します。
beetle
2011年03月04日 09:35
ボンジュール アインシュタインはベロを大きく出した写真が有名ですがそのオチャメなところと相対性理論(世界的理論)とのギャップの大きさも大好きです。
光の速度がどんな速い物に乗って見ても遅い物に乗って見ても速度は変わらないは初めて知りました また勉強させて頂きました、ありがとうございました!
ゆうじさんは理工系ですね、私も理工系です、ではでは。
2011年03月05日 00:02
高校のときに相対性理論の基礎的な本を買ったのですが、途中でわからなくなって投げ出した記憶があります。
ニュートン力学は、自分が実際に観察して直感的に理解できるので、まだ頭がついてきたのですが、相対性理論は文章を追ってもピンとこないところがありました。
直感で理解できないことがらを、アインシュタインは思考実験で辿り着いたというのは、大変な天才ですね。
2011年03月05日 14:01
beetleさん
コメントありがとうございます。

私の記事がお役に立てた様で嬉しいです。

P.S
私はなんちゃって理系ですので、大した事は書けませんが、これからもご贔屓にお願い致します。
2011年03月05日 14:04
しばやんさん
コメントありがとうございます。

そうなのです。
アインシュタインは光の特殊な現実があるから、これまでの固定概念を変えれば良いということに思考実験で辿り着いた事がやはり天才だと思うのです。

良く発想の転換を図るべきという人がいますが、それはしっかりとした基礎と考察があって初めて言える言葉というのが、今回のネタを書いていてあらためて感じました。
S子
2011年03月09日 00:38
優しく解説して戴きましたのに、まだよくは理解できません。動くものは止まっているものよりも時間の進み方が遅くなる??…ロケットのお話、面白いですね。(1年は1年だと思うのですが。万人に伝わっても私には、何万光年か先になりそうです。)
今、わかった事は、理科のお勉強も哲学だってことです。
yamane
2011年03月09日 23:01
いつもほんと写真が素敵です。
(⌒▽⌒)
2011年03月10日 02:31
S子さん
こんにちは。

私の解説が分かり難く大変申し訳ありません。
『特殊相対性理論』については上手く纏めたつもりでしたが、未だ未だ編集・構成能力不足を感じました。

失礼致しました。
2011年03月10日 02:32
yamaneさん
コメントありがとうございます。

写真褒めて頂いて嬉しいです。励みになります。
2011年03月10日 10:22
アインシュタインについては、宇宙の話を聞く祭に欠かせない方ですね。
私などは4次元がすべての宇宙かと思っていましたら・・・現在では10次元まであることがわかってきたり。
面白いですね。
こんな理論が生まれた土地を旅されてきたのですね。
2011年03月10日 23:19
Tatehikoさん
コメントありがとうございます。

10次元まで証明されているのですか。
学の無い私には全く理解できない世界です。

教えて頂きまして勉強になりました。
なくん
2011年03月11日 23:21
東京は。地震が何度も起きているそうですが、ゆうじさんはご無事でしょうか?
2011年03月12日 00:16
なくんさん
心配ありがとうございます。

部屋はめちゃくちゃですが、体は今のところ何とか無事です。

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