パリ(Paris) part4 7区 エッフェル塔 第2部 『創られた虚像』

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今から約10年前の2001年10月15日、フランス法務省に名誉回復を求める再審請求が提出されました。その提出元は『マタ・ハリ基金財団』とオランダの『レーワルデン市』。

第2部は闇に葬られたマタ・ハリの謎を追います。

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「マタ・ハリは冤罪だったのか?」

前回の第1部『妖艶な2重スパイ』を読まれた方は不思議に思うかもしれませんが、実はマタ・ハリが本当にスパイであったかは今をもって謎なのです。

パリ(Paris) part3 7区 エッフェル塔 第1部 『妖艶な2重スパイ』

それどころか、逆に現在では彼女がスパイであった証拠は否定されつつさえあります。

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例に挙げるとドイツのスパイとして以下の辻褄が合わないことが確認されています。

■ドイツの女スパイ『リシャール』は自身の回想録で「アーノルド・カレ大佐配下にマタ・ハリというスパイはいなかった」と書き残している。

■彼女はドイツのクローマー領事から渡されたフランスの秘密インクを運河に投げ捨て使用を拒否している。
 ※ドイツ側のスパイである筈ならばフランスの情報を手にするチャンスを棒に振るのは不自然である。

■ドイツ情報部長とランチで外食したとされているが、スパイとの接触というトップシークレットの会食を人前で行う事はありえない。

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では何故マタ・ハリはスパイとされたのか。

その影にはフランス情報部の取り纏めであったジョルジュ・ラドゥー大尉の暗躍があったと云われています。

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実はジョルジュ・ラドゥー大尉が法廷で出したマタ・ハリの証拠には捏造改竄されたものが多いと云われているのです。

実際、マタ・ハリがスペインマドリッド潜伏中にドイツ随行員と接触したという報告は捏造で、証拠とされる暗号電文も巧みに改竄されたかの様な痕跡が確認されています。

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ジョルジュ・ラドゥー大尉はフランス軍からスパイ拿捕の圧力をかけられており、戦争不安を緩和する為に身代わり(スケープゴート:scapegoat)を立てる必要に迫られていたと考えられるのです。

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ジョルジュ・ラドゥー大尉にマタ・ハリが近づいた際、マタ・ハリは19歳年下のロシア人将校に入れ揚げていました。

彼に会うためには通行許可証が必要であり、その為にマタ・ハリはその魅力的な体を武器にジョルジュ・ラドゥー大尉へ接触しこれを入手しています。

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その交換条件としてマタ・ハリをフランス軍のスパイになるよう持ちかけていますが、この時ジョルジュ・ラドゥー大尉
はマタ・ハリがドイツ軍に雇われた『H21』だと知っていた可能性が高いと云われています。

その上で、ジョルジュ・ラドゥー大尉はマタ・ハリに話しを持ちかけています。
だとするならばマタ・ハリの体目当てや見せしめの為のマリオネットにしようとしたことも十分考えられるのです。

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また、アーノルド・カレ大佐もマタ・ハリがフランス軍と接触がある事を気付いていたとされています。

マタ・ハリとアーノルド・カレ大佐は1916年12月に、マドリッドで接触したとされていますが、この時マタ・ハリはスカートの下で脚を怪しげに動かして大佐の気を引きドイツ潜水艦の情報を得ています。

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マタ・ハリは大佐を手玉に取ったつもりでいたかも知れませんが、大佐は承知の上で「フランス軍が使用してる暗号をドイツは解読した」とマタ・ハリへ偽情報を与えています。

そして逆にこの時アーノルド・カレ大佐はマタ・ハリからフランスの機密情報を聞き出すことに成功してさえいます。

アーノルド・カレ大佐側からすると、マタ・ハリを通じて偽装工作しフランスに態とガセネタや古い情報を掴ませて攪乱するのが目的だったと云えます。

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アーノルド・カレ大佐はマタ・ハリから得たフランスの機密情報をいち早くベルリンへ打電していますが、連合国側が既に解読している古い暗号を使用しています。

故に、マタ・ハリの存在を示唆しフランス軍の手で抹殺させたともとれるのです。

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そして1917年2月13日、マタ・ハリはアーノルド・カレ大佐とベルリンのドイツ軍で遣り取りされた「H21に前金で15000マルクを渡して、フランスへ送り任務を遂行させよ」という電文が決定的な証拠となり、パリのホテルでフランス政府に拿捕されることになります。

この電文はフランス軍によりエッフェル塔傍受されますが、アーノルド・カレ大佐側からすると想定内の偽装工作であった訳です。

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マタ・ハリはスパイ容疑でフランスの軍法会議にかけられましたが、この時どんな情報を敵国ドイツへ流したか具体的には全く証明できないままスピーディーに死刑判決が下されています。

【補足】
この軍法会議の場でマタ・ハリの罪は『連合国側兵士5万人の死に等しい』と裁判で判断されました。

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マタ・ハリは取調べの際、

「私が娼婦である事は認めます。でもスパイとは?とんでもない・・・」

と陳述しています。

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当時フランス政府は軍の被害が甚大で国民不満と疲弊感のガス抜きをする必要に迫られていました。

とすれば連合国側からしてみても敵国ドイツのスパイを銃殺刑に処することで戦意高揚を謀ったとも云えます。
つまりマタ・ハリはその鼓舞の為の生贄に利用されたとも考えられる訳です。

真相は闇の中ですが、ひょっとすると2重スパイは創られた虚像であり、マタ・ハリは『単なる恋多き女』であったのかもしれません。

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エッフェル塔(La tour Eiffel)

住所:5 avenue Anatole France,Champ de Mars,75007 Paris
電話:33 01 44 11 23 23
交通:パリ近距離地下鉄6号線『Bir Hakeim駅』下車
パリ郊外地下鉄(RER)C線 『Champs de Mars - Tour Eiffel駅』下車
料金:エレベータ利用 1層と2層まで 8ユーロ,3層まで13ユーロ
階段利用 2層まで大人4.5ユーロ,12~24歳3.5ユーロ
4~11歳3ユーロ,3歳以下無料
※2009年4月4日改定
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【参考文献】
『[伝説]になった女たち』山崎洋子(株式会社光文社)
『歴史人物から読み解く世界史の謎』歴史のふしぎを探る会(株式会社扶桑社)
『世界史の謎と暗号』歴史の謎研究会(株式会社青春出版社)

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この記事へのコメント

beetle
2011年06月14日 07:57
興味深くよまさせて頂きました。
謎多き女性でかつ美しい方は興味がそそられますね!
事実かフィクションか解らない方が印象深いですよね!
特に肉食系のヨーロッパ女性の場合は気に成りますね~。(右京ふう?)
2011年06月14日 08:53
すばらしい見聞と見識ですね。また訪問させていただきます。ありがとうございました。
2011年06月18日 01:07
こんばんは ゆうじさん
マタ・ハリの人生1部2部とエッフェル塔の写真と共に楽しく読ませていただきました。最後は処刑・・・結局、都合よく利用されてしまった恋多き女性だったのかもしれないですね?なんとなく、フランスの為に戦い、そして最後は処刑されてしまったジャンヌ・ダルクを何故か思い出してしまいました。

エッフェル塔は何度見ても良いですよね。あの鉄筋の細かさ、デザインを見てビックリ!さすがフランスだわ!と思ってしまいました。実際近くで見るまでは東京タワーと変わらないだろうと思っていたのですが、下から見上げて初めてエッフェル塔の素晴らしさを知ったのでした。東京タワーより高い展望台の外にも出られたりして、それもビックリでした。
よんちゃま!
2011年06月19日 22:42
エッフェル塔・・・東京タワーでは 見ることができない(?)「真下から」・・・・「姿」・・・ちょっと見てみたいと 思いますね!
2011年06月24日 22:00
こんばんは~^(^.^)/~~~
数奇な運命をたどった、美人スパイマタ・ハリのお話ですね。
うろ覚えに、聞いてはいましたが…
改めて、教えられることばかりです。
東洋のマタ・ハリと言うのもおりましたね。
戦時中の事ですから、何処までが真実かはよくは解りませんが、いずれも大変な生き方をしたのですね。したというよりさせられた(利用された?)と言うべきでしょうか。
現代でもスパイ網、凄いらしいですね。
平凡の人生が良い、とつくづく思いました。
2011年06月25日 10:45
beetleさん
いつもコメントありがとうございます。

そうですね。
謎めいた女性には心惹かれてしまうかも・・・
私も男なので良く分かります。
2011年06月25日 10:46
松さん
コメントありがとうございます。

私の様な経験不足の若輩者を褒めて頂きまして真にありがとうございます。

これからも拙い内容ではありますが、紹介して参りたいと思います。
2011年06月25日 10:49
naturaさん
お久しぶりです。ありがとうございます。

2部構成の長丁場読んで下さり光栄です。
ジャンヌ・ダルクのネタも勿論用意していますので、ご期待下さい。
オルレアン、ロワール、ルーアン、ティフォージュetc色々ネタ収集してきましたよ。
2011年06月25日 10:51
よんちゃま!さん
東京タワーも下からのぞけますよ。

特にライトアップ時は綺麗ですので、是非近くで眺めて見てくださいね。

東京スカイツリーよりは東京タワーのフォルムが好きな私です。
2011年06月25日 10:54
S子さん
いつもありがとうございます。

私も去年まで良く知りませんでした。
付け刃のネタなので、見苦しい点もあったかもしれませんが、少しでも参考になればと思います。

スパイネタは初めてでしたが、これからも色々なジャンルを構成できるよう挑戦していきますね。
2011年08月24日 09:34
エッフェル塔の夜景、どの写真もメチャきれい。また、行きたいなぁ…、ヨーロッパ。
2011年08月27日 11:26
GAKUさん
お久しぶりです。

ありがとうございます。

今円高なので海外旅行はお徳かも。ぜひ行ってみたら如何でしょう?

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